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月野さんは僕のクラスの女の子だ。
いつも、いつ見ても笑ってる。 だからといって騒がしい子じゃないし、大人しい子でもない。 品のあるお嬢様って感じだ。 顔も可愛いし、性格もいいから当然モテている。 なのに彼氏はいないらしい。 何でだろう、といつも思う。 だけどそれは、僕にとって好都合だ。 何故なら僕も月野さんが好きで、付き合いたいと思っているから。 だから今此処にいる。 「話…って?」 月野さんが首を傾げる。 放課後の誰もいない教室。 僕と月野さん以外誰もいない。 「あ…,あの」 「何?」 この雰囲気からして、普通だったら分かるだろうと思った。 でも月野さんは本当に分からないという顔をしている。 「…僕…、月野さんのことが…好きなんです。」 「…えっ?」 遂に言ってしまったなと思う。 精一杯の勇気を振り絞った自分を褒めてやりたい。 そして月野さんはやっぱり困っていた。 しばらく躊躇ったような表情をしていたけれど、顔を上げて言う。 「どうしてそんなこと言うの?」 「…ぇっ?」 「なんでそんなこと言えるの?」 少し驚いた。 「…なんで…って」 なんでも何もない。 ただ純粋に月野さんが好きなだけで、結構話はしていたから少しは可能性はあると思ったから言った。 本当にそれだけなのに。 「そういうの止めてくれる?」 月野さんは笑顔だ。 「そんな言葉、信じられないの。もうごめんだわ。そうやって私を騙すの?」 月野さんは笑顔だ。 だけど瞳は怖がっていた。 「……ごめん」 僕はかける言葉がなくて、こんな言葉しか思いつかなかった。 月野さんは泣きそうな笑顔を浮かべたままで。 なんとも言えない気持ちになった。 何故か罪悪感のようなものが気持ちに残って。 「それじゃ」 月野さんはその言葉だけ残して行った。 だから僕も 「それじゃ」 と言った。 あれから何日も経った。 それなのに月野さんは何事もなかったように振る舞っている。 僕とは話もしていない。 だけど僕の目は,今日も月野さんを追っている。 PR COMMENTS
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